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 子宮内膜症とは

子宮内膜は本来子宮の内腔をおおっている組織で、毎月排卵前に徐々に肥厚し、排卵後は受精卵が着床するベッドの役割をし、受精卵が着床しなければ(妊娠しなければ)月経血となって消退します。

 

この子宮内膜と同じはたらきをする組織が、子宮内膜以外の場所(図1)に発生し、そこで毎月肥厚と消退を繰り返すのが子宮内膜症です。

(図1)子宮内膜症が発生しやすい部位

 子宮内膜症が発生しやすい部位

子宮内膜症は主に骨盤内の腹膜や臓器の表面(卵巣、卵管、子宮、直腸など)、卵巣の内部、子宮の筋層内などです。まれに肺やへそなどにも発生します。月経発来後、10代後半から閉経するまで自然にはなかなか完治しません。子宮内膜症は月経のある女性の数%〜10%程度がもっていると推定されています。

子宮内膜症は始めはmm単位の大きさで、パラパラと散らばっています。したがってできて間もない子宮内膜症細胞は、画像診断はおろか、手術をしても見つけることは困難です。

 

腹膜子宮内膜症(ブルーベリースポット)
 

腹膜や臓器の表面に発生する子宮内膜症で、ブルーベリースポットとも言われます。小さい病巣でも活動性があると臓器と臓器(卵管と卵管、子宮と直腸、卵巣と子宮など)の癒着の原因となり、結果として月経痛、性交痛、排便痛、卵管による卵子のピックアップ障害をもたらします。腹膜子宮内膜症は、超音波検査やMRIなどの画像診断が困難です。

 

卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)
 

卵巣の内部に発生する子宮内膜症で、病巣が袋状になり、中に血液が溜まっていくものです。卵巣全体が10cmにも大きくなることがある一方、5〜6cmで破裂してしまうこともあります。1個の卵巣に複数発生し、多房性となること場合もあります。卵巣チョコレート嚢胞は始めは小さくて痛みも感じませんが、次第に大きくなると腹膜や卵管と癒着して月経痛や性交痛がひどくなり、卵管による卵子のピックアップ障害や卵巣内の卵子の機能低下をもたらします。超音波検査でほぼ診断できます。

 

子宮腺筋症
 

子宮筋層内に発生した子宮内膜組織は筋層自体を分厚く固くするため、部分的に盛り上がるものや、子宮全体が大きくなるものがあります。ひどくなるともともと鶏卵くらいの大きさだった子宮がメロン位の大きさになってしまうことがあり、ひどい月経痛、過多月経(月経血量が多くなる)をもたらし、受精卵の着床障害や流産の原因にもなります。子宮腺筋症は超音波検査やMRIでほぼ診断できます。

 

深部子宮内膜症
 

腹膜の表面から少し埋もれた状態で発生しています。子宮と直腸の間のくぼみ(ダグラス窩)の深部など発生します。痛みが強く、性交痛や排便痛もひどくなります。最も発見しづらく、最も手術が難しい内膜症です。

 

 発生原因

発生原因は諸説があり、移植説(月経逆流説)と腹膜化生説(胎性体腔上皮化生説)と免疫関与説が有力です。

通常は身体に備わっている生体調節システム(免疫系、内分泌系、脳神経系)が部分的にうまく働かないために、多くの女性では進行しない子宮内膜症が進んでしまうという説もあります。

 

 子宮内膜症の症状

月経痛(月経困難症)
 

子宮内膜症による月経痛は、
 鎮痛剤が必要で服用しても充分痛みがとれない
 年々痛みが強くなる
 腹痛だけでなく肛門や腟の奥のほうも痛い
というような特徴があります。

性交痛や排便痛
 

子宮内膜症がダクラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)にあると性交痛や排便痛の原因になります。

月経血量が多い(過多月経)
不妊症
 

子宮内膜症のすべての女性が不妊になるわけではありませんが、卵管による卵子のピックアップ障害をもたらすため、不妊症の20%くらいが子宮内膜症によるといわれています。

 

 子宮内膜症の治療

鎮痛剤
 

月経痛(生理痛)が強く日常生活に支障をきたす場合、痛みが強くなる前に早めに服用することがポイントです。ロキソニン™やボルタレン™、市販薬ではバファリン™やイブ™などが用いられます。鎮痛剤は痛みを和らげる対症療法ですから、内膜症そのものを改善したり、内膜症の進行を抑えたりする効果はありません。

 

ホルモン療法
 

ホルモン療法は月経血量を少なくしたり、月経を一時的にストップさせることによって、内膜症の進行を抑えたり、病巣を小さくする効果と痛みを和らげる効果がともにあります。

 

低用量ピル(ルナベル™、ヤーズ™など)
 

低用量ピルは排卵を抑制するとともに月経血量を減少させる(内膜の肥厚を抑制する)ことにより、子宮内膜症の進行を遅らせ、病巣を小さくするはたらきがあります。
低用量ピルの特徴は
 ・長期間服用が可能
 ・内膜症による生理痛が軽減できる
 ・内膜症の進行を遅らせるはたらきがある
 ・月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)にも効果がある
しかし
 ・血栓症(血液が血管内で固まってしまう病気)になるリスクがわずかに上昇する
  (服用していない女性で4/10,000、服用している女性で7/10,000)
 ・喫煙者や40歳代後半では血栓症のリスクが増大する
 ・避妊効果があるため、妊娠しようとしている女性には不向きです。

プロゲステロン療法(ディナゲスト™、ミレーナ™)
 

ディナゲスト™は1日2回内服、ミレーナ™は子宮内腔に装着する合成の黄体ホルモン(プロゲステロン)です。排卵を抑制するとともに内服中は多くの女性で月経がストップして子宮内膜症を縮小させる効果と優れた鎮痛効果があります。血栓症のリスクを上昇させることがないため、喫煙者や40歳代後半でも長期に服用することができます。

GnRHアゴニスト療法(リュープリン™など)
 

GnRHアゴニストは、排卵コントロールしているホルモン(ゴナドトロピン)の分泌を抑制し、排卵と月経を一時的にストップさせるはたらきがあります。子宮内膜症病巣を縮小する効果が高い反面、ホットフラッシュなどの更年期様症状があり、また使用中は骨量がわずかに減少するため使用できる期間が連続6ヵ月までと限定されています。

 

手術療法
 

進行した子宮内膜症や、薬物療法では改善しない子宮内膜症に対しては手術療法が効果的です。現在は腹腔鏡下手術により、小さいキズ、短期間の入院での手術が可能になりました。内膜症病巣を取り除き、癒着を剥がし、腹膜子宮内膜症(ブルーベリースポット)を焼灼・蒸散するなどの処置を行います。ほぼ完全に治療できる場合もありますが、手術後に内膜症や癒着が再発したり、手術により卵巣の正常部分も減少してしまう場合があります。

 最適な治療法はどれでしょうか?

今は妊娠を希望していない女性で、内膜症の進行度が低く、月経痛が強い場合
 
第1選択 鎮痛剤(または漢方薬)
第2選択 低用量ピル

 

今は妊娠を希望していない女性で、チョコレート嚢腫や子宮腺筋症があり、月経痛が強い場合
 
第1選択 低用量ピルを短期間(3ヵ月くらい)使用して、内膜症が縮小傾向の場合、そのまま継続する
第2選択 低用量ピルを短期間(3ヵ月くらい)使用しても内膜症が増大傾向の場合、プロゲステロン療法かGnRHアゴニスト療法に切り替える
第3選択 プロゲステロン療法かGnRHアゴニスト療法を6ヵ月間使用したのち、低用量ピルに切り替える

 

直径5cm 以上のチョコレート嚢腫がある場合
 
第1選択 手術療法を行い、再発が起こらないか定期経過観察する
第2選択 手術療法を行い、再発予防をホルモン療法で行う
第3選択 GnRHアゴニスト療法を6ヵ月間使用したのち、再度増大傾向の場合、手術療法を行う

 

今妊娠したい/してもよい女性で、内膜症が原因で妊娠していない可能性がある場合
 

 →「子宮内膜症による不妊の治療