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Home > 不妊症の治療方法:体外受精-胚移植(IVF-ET)について

 体外受精-胚移植とは

ヒトの卵子と精子は、卵巣から排卵された卵子が卵管の先端部分(卵管采)からピックアップされ、膣内から子宮腔内を通って卵管内までやってきた精子と出会い受精します。しかし、なんらかの原因で卵子と精子が出会うことが出来ない、また出会ったとしても、受精することが出来なかったり、受精卵がうまく育って着床するところまでいかなかったりする場合に、体の外(つまり体外)で受精させ、その受精卵(胚)を子宮の中に戻す方法が必要となります。

体外受精とは、正式には体外受精-胚移植(IVF-ET)という治療法で、卵子を採取し、体外で卵子に 精子を受精させ、受精卵を作成し、これを子宮内に戻す治療法です。この方法で2006年までに国内でも10万人以上の赤ちゃんが誕生しています。体外受精は1978年にステプトー博士、エドワード教授らのグループにより成功、日本でも1982年に臨床応用がスタートしました。

 

 体外受精-胚移植をおこなう場合

精子の数が少ない、運動率が低いなど男性に不妊原因がある場合
卵管が閉塞している場合
抗精子抗体陽性の場合
他の不妊治療ではなかなか妊娠しない場合
人工授精を繰り返し行っても妊娠しない場合

また、最近では高年齢である場合などで早く妊娠を望む場合には④⑤で長期間の治療にならないうちに行うなど適応が広がってきました。

 

 排卵誘発の必要性とその方法

自然周期では、多くの場合1回に1個の卵子しか排卵しません。体外受精・胚移植で1個の卵子しか得ることができない場合、受精・着床・出産にいたる確率はかなり低いのです。そのため、複数の卵胞の発育を促し、複数の卵子を得ることが成功率を高くすることに役立ちます。

 

イラスト:JAOG「不妊治療 ILLUSTRATION FOR INFORMED CONSENT」より引用

複数の卵胞を育てるために排卵誘発剤(内服薬か注射もしくはその両方)を用います。しかし注射を続けると卵胞から分泌されるホルモンの働きによって排卵を誘発する脳の下垂体のホルモン(LH)が大量に分泌されて採卵の前に自然に排卵してしまいます。そこで、このLHを抑えて採卵前に排卵が終了してしまうのを防ぐためにGnRHアゴニスト(点鼻薬)もしくはGnRHアンタゴニスト(注射)を用います。

 

排卵誘発剤の副作用として、卵巣過剰刺激症候群があります。これは、あまり多数の卵胞が発育すると、卵巣が腫れて腹水や胸水がたまったり、体がむくんだり、その結果尿が出にくくなったり、血液が濃くなって血管の中で血栓(血のかたまり)ができたりするものです。これを引き起こす可能性は、比較的若年齢の方や多嚢胞性卵巣症候群の診断をうけている方などで高いといわれています。そのため、排卵誘発中は外来で卵胞発育のチェックや血液検査などを行い、卵巣過剰刺激症候群を発症する危険性が高いと判断された場合は、採卵、体外受精は行っても受精卵はすべて凍結保存し、胚移植は別の月経周期に行うなどの対策が有効であるためスケジュールの変更が必要な場合もあります。

 

 実際の手順

IVF-ETは、
 IVF前の診察とスケジューリング
  →調節卵巣刺激(6〜10日間、平均8日間)
  →採卵・体外受精 →胚培養 胚移植
  →黄体補充療法
  →妊娠判定

という手順で行います。

 

調節卵巣刺激法には
 ・リコンビナントFSH+GnRHアンタゴニスト法 具体的なスケジュールはこちらへ
 ・クロミフェン+hMG+GnRHアンタゴニスト法 具体的なスケジュールはこちらへ
 ・クロミフェン(/レトロゾール)法
 ・GnRHアゴニストショート法
 ・GnRHアゴニストロング法
 ・hMG-HCG法
などがあります。治療に際してはそれぞれの女性に最も適した刺激法(つまり、最も高い妊娠率を得るために必要な最も少ない刺激)を用います。

 

 キャンセル周期について

排卵誘発をしても卵胞がなかなか発育しなかった場合は体外受精を行っても妊娠率が低いため採卵を見送るかどうかの相談をします。また、採卵しても卵子が採取できなかった場合、 採卵しても受精しなかった場合、または異常受精であった場合や、受精卵が正常に発育しなかった場合(受精卵が分割しないなど)は、それぞれの時点で中止となります。

 

卵巣過剰刺激症候群は妊娠が成立した場合には、 着床した胚から分泌されるホルモンによってさらに症状が悪化して、ごくまれに母体の生命のリスクを伴う場合もあります。これを確実に回避するために、胚を凍結保存して、その周期に妊娠しないよう胚移植を延期したり、場合によっては排卵誘発を中止したり必要が生じることもあります。

 

 費用について

体外受精-胚移植はすべて健康保険の適応外(自己負担)です。採卵(麻酔管理料も含む)+精液処理+媒精+胚培養+胚移植で31万8000円(平成26年現在)ですが、これには外来でのホルモン(採血)検査、超音波検査、排卵誘発剤の注射、胚移植後の黄体ホルモン注射の費用、処方される薬剤の費用は含まれません。(費用について詳しくはこちらへ)

 

 体外受精‐胚移植の治療成績

銀座レディースクリニックにおける治療成績(2014年)

  新鮮胚を用いた治療 凍結胚を用いた治療
  胚移植あたり妊娠率      35歳以下    16.7%       35歳以下    49.2%   
   36歳〜39歳     13.0%       36歳〜39歳    48.6%   
   40歳〜43歳     15.4%       40歳〜43歳     21.3%   
   44歳以上       44歳以上    20.0%(1名)

 

銀座レディースクリニックにおける治療成績

    2012年 2013年 2014年
  採卵あたり妊娠率      35歳以下     61.2%    74.1%    72.0%   
   36歳〜39歳     31.1%    34.3%    47.1%   
   40歳〜43歳     14.7%     20.0%     24.8%   
   44歳以上    0%    0%    11.1%(1名)
Total 31.5%    35.7%    40.1%   

 

日本産科婦人科学会では全国の医療施設に義務づけられた体外受精の結果報告をまとめて毎年報告しています。出産の結果を含めたデータを集計するため、2年前までに行われた体外受精の結果が公表され、インターネットでも閲覧できます。この報告書には個々のカップルのデータは含まれておりません。

【参考】日本産科婦人科学会登録・調査小委員会による胚移植1回あたり妊娠率(2009年)

【参考】日本産科婦人科学会登録・調査小委員会による1治療周期あたり出産率(2009年)

【参考】日本産科婦人科学会登録・調査小委員会による新鮮胚を用いた治療成績(2009年)

  体外受精胚移植(IVF-ET) 顕微授精(ICSI)
   胚移植あたり妊娠率    24.3% 20.3%
   単一胚移植での妊娠率    24.3% 19.8%
   採卵あたり妊娠率    11.5% 9.2%
   妊娠あたり流産率    23.6% 26.4%
   胚移植あたり生産率    16.9% 13.5%

 

【参考】日本産科婦人科学会登録・調査小委員会による凍結胚を用いた治療成績(2009年)

  融解胚子宮内移植
   胚移植あたり妊娠率    32.6%
   単一胚移植での妊娠率    34.0%
   妊娠あたり流産率    25.3%
   胚移植あたり生産率    22.3%

 

銀座レディースクリニックは日本産科婦人科学会の生殖補助医療実施登録医療機関です。そのため、行った全ての体外受精(顕微授精を含む)について、その治療内容と転帰を報告する責務を負っています。報告に際してご協力をお願いしておりますが、ご理解・ご協力下さいますようお願いいたします。(学会への報告内容には個人情報は一切含まれません)

 

 治療における危険性について

卵巣過剰刺激症候群
 

卵巣刺激を用いた体外受精では卵巣過剰刺激症候群を発症することがあります。【排卵誘発の必要性とその方法】の項をご参照ください。卵巣過剰刺激症候群を発症した場合は適切な治療が必要であり、ごくまれに入院管理を必要とすることもあります。

 

採卵に伴うリスク?
 

採卵は細い針を用いて卵巣を穿刺し、卵子を採取するもので、まれ(1/2000程度)に採卵後に出血や感染を起こし、入院治療や開腹手術を要することがあるといわれています。

 

多胎妊娠
 

当院の成績では受精卵を2個移植した場合約15%が双胎(ふたご)になります。品胎(みつご)が母子に及ぼす危険を考慮して、移植する胚の数は1回につき原則1個、最大2個までです。

 

流産、子宮外妊娠
 

妊娠が成立しても、流産となる可能性が約15%以上(女性の年齢によります。40歳女性の場合約40%)、子宮外妊娠の危険性が2〜4%あるといわれています。

 

先天異常の可能性について
 

体外受精-胚移植により、自然妊娠より先天異常の割合が統計学的にわずかに高くなるというエビデンスが報告されています。安全性に関してはごく長期の予後を含め、まだ判明していない点もあります。

 

 治療を決める前にご相談を

治療を決める前にご夫婦でよく相談の上、ご不明な点や、ほかの治療方法との比較、 自治体の特定不妊治療費助成について、よくご相談ください。